車いすのひざ掛けが落ちない|作業療法士が伝える安心して使える選び方

こんにちは!作業療法士のハルです。

車いすでの外出、寒い季節は防寒対策として、ひざ掛けを使っている方も多いのではないでしょうか。手軽に暖が取れ、種類も多く手に入れやすいひざ掛けは取り入れやすい防寒アイテムです。

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一方で、少し姿勢を変えただけで位置がずれる、外に出ると風や振動でめくれたりずり落ちることもあります。ずり落ちたひざ掛けは車いすの前輪に引っかかる危険もありますし、落ちたひざ掛けを拾うにもリスクが伴います。あたたかさは足りていても、外出中に何度も直す必要があると気持ちは落ち着きません。

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この記事では、ひざ掛けのずり落ちに悩んでいる車いすユーザーの方に向け、ひざ掛けがずり落ちやすくなる理由と、安心して使うためのポイントをお伝えします。

1.ひざ掛けがずり落ちやすい理由

ひざ掛けがずり落ちるのは、使い方が悪いからではありません。理由は大きく2つあります。それは「身体が常に動いていること」と「外的な環境要因」です。

1-1. 理由① 身体が常に動いている

自走式車いすは手で漕いで動かします。ハンドリムを掴んで前に押し出す力を加え、車椅子が前方に進んだら、今度はハンドリムから手を離し、次の漕ぎ出しのために腕を後方へ戻します。その際、上半身は腕の動きに合わせ前後に動きながら常にバランスを調整しています。

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ひざ掛けは、膝の上に置いているだけですから、身体が前に動けば、ひざ掛けも前へ少しずつ引っ張られていきます。また素材が重いと振動の影響を受けやすく、これもまた少しずつ前へ移動する要因となります。身体が動いている限り、何も固定していなければずれていくのは自然なことです。

1-2. 理由② 外的環境の影響を受けやすい

車椅子での外出時には、外的環境の影響、つまり風や路面状況の影響が加わってきます。
クリップや紐で一部を固定していても、足側が止まっていなければ、直接風があたる屋外では吹き上げる風によってめくれやすくなります。また、コンクリートやでこぼこした路面状況では小さな振動が常に加わるため、少しずつひざ掛けがずれていきます。

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風や路面状況の影響を受けやすい

そのため外出時にひざ掛けを使う場合は、「ずれないか」だけでなく「ずれたときに直せるか」も考える必要があります。

2. ずり落ちることによって起こるリスク

ひざ掛けがずり落ちるとなぜ良くないのでしょうか。それは次のようなリスクがあるからです。

・車椅子の前輪にひっかかって前方に投げ出される
・落ちたひざ掛けを拾おうとしてバランスを崩す
・引っかかって破れる
・タイヤに擦れて汚れる
・雨や雪で濡れると体が冷える

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汚れは洗濯の手間が増えますし、バランスを崩したり引っ掛かって前方に投げ出されるという状況は、怪我につながります。小さなヒヤリや不快感の積み重ねは、外出そのものが落ち着かなくなります。

3. ずり落ちにくいひざ掛けを選ぶときのポイント

では、ずり落ちにくいひざ掛けを選ぶにはどこを見れば良いか、そのポイントをお伝えします。

3-1. 走行中に前輪側へ落ちにくい構造になっているか

先に述べたように、車椅子を漕いでいると前方向への力がかかり続けます。そのため、足元で固定できる構造になっていると安心です。具体的には、次のような構造です。

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こうした固定方法があると、前輪側へ落ちにくく、風でもめくれにくくなります。覆う範囲や足元の固定方法が具体的に説明がある、走行中に前へずれない工夫がされているか確認してみましょう。

3-2. 風でめくれても整えやすいか

ずり落ちにくい、風でめくれにくい構造といっても、100%防ぐことはできません。大切なのは、めくれたあとに自分ですぐに直せるかです。

まず確認したいのは、めくれても留め具が外れにくい構造かどうかです。一部が浮いても、全体が外れてしまわない設計かを見ます。留め具には、面ファスナー、クリップ、紐、バックルといった、さまざまな種類があります。

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それぞれ固定の強さや扱いやすさが異なるため、車椅子に座りながら操作できるかどのくらいの力が必要かを確認して自分が使いやすいものを選びましょう。

3-3.サイズ感は適切か

大きすぎるひざ掛けは、風の影響を受けやすくなります。また、風を受けた時に広がりすぎない形かどうかも判断材料になります。大きすぎると、畳み直す際にも手を大きく動かさなければならず、整えるのに負担がかかります。めくれても慌てず整えられるサイズ感が、外出中に気を取られないためのポイントになります。

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4. 機能面以外に確認したいポイント

ずり落ちにくい構造、ずれても整えやすい固定方法、サイズ感といった機能面以外に、次のことも確認しておくと日常使いがしやすくなります。

4-1. 着脱や持ち運びは負担にならないか

外出先でひざ掛けを外す場面は少なくありません。例えば、電車やバスなどの交通機関に乗る時、お店や職場など、屋内に入る場面もあります。脱ぎ着する際は、車内や店内など、狭い空間で脱ぎ着することもあり、十分なスペースが取れない状況でも扱えるかどうかは大切なポイントです。

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また脱いだ後に畳むのか、どこかに掛けておくのか、収納方法もポイントになります。収納場所を考え、畳んだあとのサイズ感畳みやすさも確認するとよいでしょう。またコンパクトに畳めると、雨が心配な日に持っていくことも可能です。

4-2. 室内外の温度差にも対応しやすいか

屋外ではちょうど良いあたたかさでも、暖房の効いた屋内では暑く感じることがあります。

レインウェアやウィンドブレーカーに使われるような耐風性の強い素材は、風を通しにくいという利点がある一方、熱や湿気がこもりやすい特徴があります。蒸れや暑さは着けていること自体が負担になるため、体温調節をしやすくするためにも、脱ぎ着のしやすさは重要です。

すぐに付け外しができる、一人で脱ぎ着出来る、介助者がはじめてみてもわかりやすい構造であるという点も、選ぶときのポイントになります。

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選ぶときのポイント

4-3. 使いたいデザインか

機能面を重視すると後回しになりがちなのが、デザイン性です。機能面はもちろん大事ですが、それを着て出かけることを考えると「自分が着たくなるデザインか」もひとつ大切なポイントになります。

好きな色やデザインのものだと、雨や寒い日のおでかけも気が晴れます。使い続けるものだからこそ、ご自身が好きなデザインのものをぜひ選んでください。

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5. 外出に安心感を「ケアウィルのひざ掛け」

ひざ掛けのずり落ちを気にせずに済むだけで視線や意識が前に向き、移動そのものに集中できることで、外出の安心感につながります。

ケアウィルでは、ひざ掛けを外出を支える道具として考えています。2024年度のグッドデザイン賞も受賞した「多機能レインウェア・ひざ掛け」は、”雨の日の外出を諦めない”当事者のみなさんの活動・参加をサポートする服として作られました。開発には、脳卒中、脊椎損傷、膠原病等による障害で車いすを利用する当事者19名(女性11名、男性8名)が参画しています。

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車椅子利用者向けレインウェア(晴雨兼用)・ひざ掛け

もともとは成人向けに開発された製品でしたが、最近では車いすやバギーを使用されているお子さまの利用者も増えています。足にフィットし、長さ調整ができるので、身体が大きくなったり、車椅子が変わっても長く使えるという点が評価されています。

ひざ掛けの主な特徴は5つです。

5-1. 風でめくれず ずり落ちない

ずり落ちない第一の理由は、左右の膝~膝下部分とつま先部分の3箇所のギャザーにより足にフィットする構造にあります。車椅子ではなく足にフィットさせることで、風が吹いてもめくれず、車椅子を漕いで身体が動いてもずり落ちる心配がありません。

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5-2. 身体の状態に合わせて選べる固定方法

第二の理由は腰部で固定することができる機能です。下の写真のようになっており、上部の左右にプレート、固定用のベルトが2本ついています。

着脱方法はとても簡単です。ひざ掛けを広げたら、先端部を足先に引っ掛け、ひざ掛け上部のプレートを体と車いすの間に差し込み、ベルトで固定するだけ!車椅子を利用するご本人だけでなく、介助者がどなたであっても簡単に装着できます。

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ベルトの固定方法は6種類あります。プレートの差し込み方も、お尻の下に挟んだり、クッションと車いすの間に差し込んだりと、ご自身の身体の状態や車椅子の形状による違いに対応できるようになっています。

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5-3. 濡れても冷えない・蒸れない

ひざ掛けの裏面は完全防水、表面は撥水加工がされているため、雨や雪で水がひざ掛けの中まで沁みて、足を冷やすこともありません。急な雨にも対応できます。

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また、レインウェアの素材の特性上起こりやすい「蒸れ」も、足全体を覆う構造ではないため、蒸れずに過ごせます。

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足の背面が覆われていないため蒸れません

冬場や寒い地域など、ひざ掛けだと寒く感じるときは、ブランケットの上にひざ掛けをプラスして二重にすることでより温かさも保ちながら、ブランケットのずり落ちを防ぐことができます。

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5-4. 簡単着脱&コンパクトで持ち運びやすい

脱ぐときは、ベルトを外し、プレートを軸に濡れた面を内側にして、くるくるたたむだけ。外側が雨に濡れていても、周りを濡らさずコンパクトになります。

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重さも320gと軽量でコンパクトに収納できるため、車いすの座面下の収納スペースにもさっと収納できます。お天気が心配な日に念のため持っていきやすいサイズ感です。

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5-5. シンプルなデザイン

色はベージュ・グリーン・ブラックの3色あります。見た目もシンプルでコーディネートにも馴染みやすい色合いです。

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ひざ掛けは、以下からご購入いただけます。
carewill公式サイト
Amazon
Yahoo!ショッピング
Makuake STORE
WHILL
ユーキ・トレーディング

ひざ掛けと同色のジャケットもあり、セットでの購入も可能です(セット割あり)。ジャケットも気になる!という方は、こちらの記事で紹介しています。

6. 不安を減らし、安全で楽しい外出を!

ひざ掛けは我慢して使い続けるものではありません。もし、ひざ掛けのずり落ちに悩んでいるのなら、まずは今使っているひざ掛けが前輪側にずれやすい形になっていないか、止まらないと直せない構造になっていないか、その2点を確認してみてください。

ひざ掛けがずり落ちないためのポイントが分かると、自分の外出スタイルに合う道具を選びやすくなり、安心して日常を過ごすための準備になります。

ケアウィルは、これからも当事者の方々の声に寄り添った製品づくりを続けていきます。そして、今の状況を”あきらめる”のではなく、必要とする方への選択肢をお届けできるよう、あなたの「できる」を応援します!